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副業社員を人事担当は実際どう思っている? リクルートMPに聞いてみた

副業を認める企業が増えていることで、ビジネスパーソンの働き方はいっそう多様化しつつあります。自分のやりたいこと、目指すものに向かって、さまざまな選択肢を持つのは有意義なことでしょう。しかし、その一方で、副業を認める企業サイドのメリットとは何か? 積極的に働き方改革に取り組んできているリクルートマーケティングパートナーズ(以下、RMP)を直撃。副業を行う社員と人事担当者の二人にお話を伺いました。

お話を伺った人

  • 前田陽子さん

    前田陽子さん

    株式会社リクルートマーケティングパートナーズ・企画統括室経営管理部、総務グループ総務チーム所属。RMPに勤める傍ら、チャイルド・ファミリーコンサルタントとしてNPO法人子育て学協会の理事を兼務。

  • 野村由美子さん

    野村由美子さん

    株式会社リクルートマーケティングパートナーズ・企画統括室経営管理部、総務グループ内部統制チーム所属。人事担当。

RMPの仕事とNPOの活動、それぞれの内容は

――現在、RMPに勤務する傍ら、NPO法人子育て学協会の理事を兼務している前田さん。まずは本業であるRMPでの業務内容から教えてください。

前田さん:総務グループの総務チームに籍を置き、日常的に発生する捺印対応やオフィスの環境整備といった一般的な総務業務を担当するほか、福利厚生の一環として行なわれている社内部活動の事務局の運営もしています。RMPはコアタイムなしのフルフレックス制を採っていますが、副業の用事が入らない限りは、平日はたいてい9時半に出勤し、18時くらいまで社内で仕事をしています。

――副業の名刺の肩書には、「チャイルド・ファミリーコンサルタント」とあります。これはどのような職業でしょうか?

前田さん:これは3年前に取得したもので、子育てや家族に関するアドバイザーの資格です。簡単にいえば、発達心理学をベースにファミリービルディングを考え、コンサルティングを行なう立場ですね。大人や子どもが成長していく過程で生じる各種の問題に対してアドバイスを行なっているのですが、明快な正解が存在する分野ではありませんから、その家族ごとの事情をひもといて、少しでもいい関係を育むための道を模索します。現在はこのテーマで講演をしたり、協会の一員としてさまざまな啓蒙活動をしたりしています。

実は私は、以前にもRMPに在籍していたことがあり、このNPOを運営する企業にいったん転職して経験を積んだ後、およそ1年半前に再びRMPに戻ってきた経緯があります。前に在籍していたころは、これほど副業に寛容な土壌はなかったので、自分のやりたいことを学ぶためのステップアップとして転職を選択しましたが、現在は子育て学協会の仕事の一部を維持しながらRMPで働くことができ、理想的な環境にあると感じています。

――前田さんが一度他社で働いている間に、RMP社内の環境が急速に変わっていったことがうかがえます。これにはどのような事情があったのでしょうか。

野村さん:RMPでは3年前から働き方改革に取り組んでいます。一人ひとりが業務の効率化を目指し、それによって創出された時間を有効活用しようという考えに基づき進めています。働き方改革で生み出された時間を使って社外に出て、積極的に新しいものを見聞きし、個々の成長を促そうというわけです。副業を推奨しているというよりも、時間の新しい活用法の一例として副業がある、というのが正確な表現ですね。

前田さん:RMPにはもともとオープンで風通しのいい社風があり、以前は兼業までいかないものの、プライベートで個人の活動を充実させている人材が大勢いました。私がRMPを離れていた約2年の間にルールが整備されたことで、いっそうそうした活動を行ないやすく、そして働きやすい環境に改善されていたことを実感しています。

――前田さんは現在、どのようなペースで副業を行なっているのでしょうか。

前田さん:月に一度、保育園などで保護者向けの講座で話者を務めるのがメインです。このほか、週末や平日の夕方以降の時間を使って、NPO法人子育て学協会の理事としてミーティングに参加したり、協会のイベントの企画や運営をしたりしています。

“外の世界”での経験を、プラスアルファとして生かす

――ところで、こうして副業を認めることで、それが人材の流出につながるなど、企業側にデメリットはないのでしょうか?

野村さん:今のところは人材流出の懸念よりも、それぞれが副業を通して自分の新たな“タグ”を増やしているという会社としてのメリットの印象の方が強いです。たとえば、営業なら営業だけを担当していた人材が、副業でコンサル業の経験を積んだことで成長し、それが会社にとってメリットとして反映されるようなケースがあります。その反面、ご指摘のように副業が次のステージへの興味のきっかけになることもあるのでしょうが、現状ではあまり問題視されることはありません。

――複数の仕事を抱えることで、体調管理や時間管理が疎かになってしまう懸念などは……。

野村さん:労働時間に関する問題がクローズアップされている昨今、私たち人事担当者が最も恐れているのはその点です。そこでRMPでは、弊社と副業における労働時間の上限を設定しています。

このほか、兼業に際しては、RMPと競合する仕事は避けることや、他社との二重雇用にならないことなど、いくつかのルールを設け、兼業を始める前にそれぞれに誓約を求めております。また、兼業を申請している人に対しては月に1度、人事部長による判断を仰ぐ場があり、働き方や時間管理など、個別に会社側の見解をフィードバックしています。ルールに直接抵触しない細かな問題まで洗い出し、必要に応じて改善に務めているので、現状では大きな問題が生じることはありません。

――前田さんは、副業を持つことが本業にどのような影響を及ぼしていると感じていますか?

前田さん:チャイルド・ファミリーコンサルタントの資格を取るために発達心理学を学んだことが、RMPで総務の仕事をする際のコミュニケーションに生かされていると感じます。たとえば、家庭環境や兄弟構成から見えてくる個々の性質というのもありますから、それを踏まえたコミュニケーション法を意識することで、円滑に関係が育めるケースが多々あるんです。

また、兼業していることで、人の輪や活動の場が大きく広がっているのは間違いありません。副業で出会った人を、RMPの人とつなぐことで意見や知見の交換が生まれ、いい関係が生まれることも。私自身、常にアンテナを張るようになりました。年齢を重ねるごとに新しい人脈を築くのが億劫になりがちだと思いますが、副業という別チャンネルを持っていることで、「この人とこの人を会わせると、何か面白いことができるかもしれない」と、マッチングを楽しめるようになっています。何より、こうして活動の場をいくつも持っておくことが、自分の心の安定につながっているように思いますね。

――複数の仕事があることで、いい気分転換になっている、ということでしょうか。

前田さん:そうですね。たとえば、RMPの仕事で何かミスをしたりトラブルを抱えたりしているようなときであっても、もう一つの仕事では気持ちを切り替えて前を向くことができ、それが結果的に本業にもいい影響を及ぼす。一方のコミュニティで落ち込むようなことがあっても、もう一方のコミュニティで自分を必要としてくれている方々とお会いできると、自己肯定感が満たされて、どちらの仕事にもいい影響が生まれます。

――体力面など、2つの仕事をこなすことが負担になることはありませんか。

前田さん:NPOは兼業の方も多く、あくまで自分が無理なく働けるペースでやらせていただいています。RMPでもフルフレックス制のおかげで、いい状態を維持できています。これらの仕事がいずれも、私にとって“やらされている”ものではなく“やりたいこと”であるというのも大きいです。おかげで精神的に追い詰められるようなこともありませんし、今のところどちらもやり甲斐を持って取り組むことができています。このあたりは、もともと無理に自分を追い込む性格ではないことが幸いしているかもしれません(笑)。

私は幼稚園教諭の免許を持っていて、幼児教育に強い関心を持っていました。当初はこれを仕事にしようという具体的な思いはありませんでしたが、勉強を始め、ネットワークが広がっていったことで、こうして仕事につながっています。自分が動くことで得られたご縁によって、現在の働き方に行き着いたのは喜ばしいことです。

――RMPがこうした働き方改革の先に期待していることは何でしょう。企業としてどのような将来展望をお持ちですか?

野村さん:私たちがまず足元で頑張らなければいけないのは、さらに個々の生産性を上げ、それぞれが1分でも多くの時間を生み出せるように環境を整えること。そうして生まれた時間を使って、社員一人ひとりが自身の成長をしていくこと。それがゆくゆくは会社の成長につながると思っています。

副業は個々人の自由であり選択肢の一つ。取り入れたい人へのフォローは積極的に行い、働き方改革をよりレベルの高いものに磨いていく努力は今後も続けていくつもりです。その結果として、外の世界をプラスアルファとして生かせる人が増えていけば、理想的ですね。

(友清哲+ノオト)

  • ライター:友清哲

    フリーライター&編集者。主な著書に『日本クラフトビール紀行』『物語で知る日本酒と酒蔵』(ともにイースト・プレス)。『一度は行きたい「戦争遺跡」』(PHP文庫)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)ほか。

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