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なじみのバーの間借りで「土曜日だけの珈琲店」 人の縁がつないだ夢への一歩

「仕事をしながら自分の夢を叶えた人って、どうやって第一歩を踏み出したの?」

副業や複業を目指す人がもっとも知りたいことではないでしょうか。本業との両立や資金の問題など、踏み出せない理由はさまざま。それらを上手にクリアしたのが庄司賢吾さん・真帆さんご夫婦です。二人とも平日は会社員として働きながら、逗子に土曜日だけ営業するコーヒーショップ「アンドサタデーcoffee」をオープンました。「やりたい」を「する」に変えたきっかけを伺いました。

夢に近づくため、転職は副業可能な会社を選んだ

――まずは平日のお仕事についてお聞かせください。

  • 真帆さん

    真帆さん

    私は、食を中心に街づくり、コミュニティづくりをしている株式会社WATに勤務しています。会社ではプロジェクトマネジャーとして、コミュニティづくりのためのカフェ運営や飲食業のプロデュースをしています。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    僕はウェブメディアの会社に所属しながら、ディレクターやデザイナー、ライターなどをしています。実はもともと僕も妻もベネッセコーポレーションで教材商品の企画やマーケティングに携わっていたのですが、約2年前に転職をしました。将来を見据えて、自分たちができることの幅を広げたかったからです。それで、やりたいことに近づける転職先を選びました。

  • 真帆さん

    真帆さん

    私が働いている会社では、単においしい飲食を提供する場をつくるのではなく「コミュニティを形成する飲食店づくり」を提唱しています。ベネッセに所属していた頃から、漠然とではありますが「人が集まってきてくれて、そこから何かが生まれる場」をつくりたいと考えていたのと、コーヒーをはじめ「食」に興味があり、将来の働き方を考えたときに、今の会社に行き着いたんです。

――副業を禁止する会社もありますが、お二人の勤め先では問題なかったのでしょうか?

  • 真帆さん

    真帆さん

    はい。むしろ副業で活躍することで会社に還元してほしいという考えです。今回はどうしても自社の豆を使いたかったということもあり、正面きってメンバーに相談したところ、快くOKしてくれ、応援してくれました。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    僕の場合、そもそも副業を許してくれるというのは、転職の際のポイントの一つでもありました。会社には、副業について「コーヒーショップではあるけれど、これまで会社で培ってきたデザインを実践する場でもあり、マーケティングやプロモーションを実践する場でもあり、スキルアップのためのプレゼンテーションの場でもある」と伝えています。将来を見据えて、それらの技術を高めていきたいと伝えたところ、理解していただけました。

「間借り」の提案で、自分たちのやりたいことが形になった

「間借り」の提案で、自分たちのやりたいことが形になった

――転職はやりたいことを実現するための手段ということですね。その結果、どのような経緯で土曜日だけのカフェをオープンするに至ったのでしょうか。

  • 真帆さん

    真帆さん

    以前から、ことあるごとに「自分たちの手でコミュニティの場をつくりたい」と周りの人たちに話していました。ただ、それが雑貨屋さんなのかカフェなのか、形態までは見えていなかったし、何よりも都心に住み、毎日忙しく働いていたので、実現にはほど遠い感じでした。それが今年の3月に逗子に引っ越したことで、いろいろなことが動き始めたんです。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    二人とも離島が好きでよく旅行に行くのですが、将来は島に移住したいという夢がありました。すぐというわけにはいかないけれど、もう少し住環境を整えようと、大好きな海のある逗子に引っ越すことにしたんです。会社は都内なので最初は通勤が大変だったけれど、歩いて海に行ける環境は思っていた以上に自分たちに合っていました。

  • 真帆さん

    真帆さん

    自然に囲まれた逗子に来た途端に、本業と自分たちがやりたいことを並行する副業が現実味を帯びてきました。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    お互いに目線は一緒だったので、少しずつでもやれることをしていこうと。

  • 真帆さん

    真帆さん

    そんなときに思いがけない提案をいただいたんです。逗子に引っ越して以来通っていた、ここ湘南餃子と泡の店「ハトコヤ」というバーで、オーナーさんやスタッフさんと仲良くなって、将来はこういうことがしたいと夢の話をしていました。そうしたらオーナーさんから「昼間はお店を開けていないから使っていいよ」と。6月中旬のことです。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    その話を聞いて、僕もすぐにやろうと大賛成でした。以前から週末は自分たちがやりたいことに使えたらいいねと話していたんです。今の仕事を辞めてやりたいこと一本で始めるのはリスクが高すぎる。できる範囲で自分たちの活動の幅を広げていける方法が見つかったのは幸運だったと思います。

  • 真帆さん

    真帆さん

    彼の言うとおり、リスクの問題もあるし、まだまだ二人とも社会人としてのキャリアが浅く、独り立ちできるレベルではないと思っています。でも、チャンスがあるのなら小さいことでも試してみたいという気持ちはありました。だから1日だけ間借りしてのカフェオープンはとてもありがたいお話でした。

ローコストでつくり上げた、思い描いていた通りの「場」づくり

  • 真帆さん

    真帆さん

    カフェをオープンするにあたって、デザイン、PR、コーヒーの淹れ方、アイテムなど、できる限り自分たちの手でつくってみようと決めました。準備期間があまりなかったので大変でしたが、それぞれ得意な部分を担当して、彼がロゴやメニューをデザインしたり、PRツールであるtwitterやInstagram、facebookを立ち上げたり、私がミシンで暖簾を縫ったり、会社の仲間であるバリスタにコーヒーの淹れ方を学んだり、価格設定を考えたり。とにかく、二人で試行錯誤の毎日でした。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    だから外注費がまったくかかっていないんです。もちろん賃料はお支払いしていますが、開業資金というほどの投資ではありません。そもそもカフェを始める前から、自宅でコーヒーを楽しむのが日常だったので、その空気感をそのまま提供できればと思い、道具も同じものを使っています。間借りですし、道具もそんな感じなので、高い設備投資も必要ありませんでした。

  • 真帆さん

    真帆さん

    無理した形で始めてしまうと、副業は続かないのかなぁと。自分たちの力でできるミニマムなしつらえというのが、今の私たちの身の丈に合ったスタイルなんだと思います。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    本業と副業の兼業というと、大変なイメージがあるかもしれませんが、僕たちの場合、資金もそうだし、時間もそうですけど、お互い無理なく楽しんでいるので、大変だという思いはまったくないですね。会社員としての責任があるので本業が最優先ではあるけれど、すきま時間は結構あります。平日の夜は土曜日のオープンに向けてtwitterやInstagram、facebookで、それぞれに目的を変えてPR活動をしています。

  • 真帆さん

    真帆さん

    会社ではなかなか実験的なことはできませんが、自分たちのメディアならそれができる。それで、お互いに趣味を活かすことにしました。彼は写真をfacebookに投稿し、私はイラストをInstagramに投稿しています。どんな反応が返ってくるのか、毎日ドキドキしながら見ています。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    いずれは写真やイラストも仕事の一つにしていきたいという気持ちがあるので、自分たちができることをアピールしていくという意味でも、「アンドサタデーcoffee」のツールを使って、しっかりと伝えていければと思っています。

ローコストでつくり上げた、思い描いていた通りの「場」づくり

――カフェをオープンして1カ月が経過しましたが(取材時点)、仕事や暮らしへの影響は感じていますか?

  • 真帆さん

    真帆さん

    正直、まだスタートしたばかりなので、本業への影響はわかりません。少なくとも迷惑はかけていないといいのですが(笑)。お店のことでいえば、知り合いが一人もいない逗子に引っ越してきて、思いがけずカフェを始めて、最初はお客さんが来てくれるか不安もあったけれど、結果的に今日までの5回のオープンで、すでにコミュニティができつつあります。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    「最近引っ越してきた」という同世代の方をはじめ、毎週多様な人が集まってきてくれて、知らない人同士がここで出会ってつながり、なじみの顔ぶれになっていく。まさに僕たちが思い描いていたような場ができています。

  • 真帆さん

    真帆さん

    わずか1カ月で実現できたことに驚くのと同時に、とにかく小さなことからでもやってみることが大事なんだと改めて実感しています。

――逗子に引っ越したことが大きな転機につながったのでしょうか?

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    それもあるとは思いますが、都内に住んでいたときからやりたいことを周囲に伝え続けてきて、ここでやっと出会えた、つながったという感じですね。これまでの人とのつながりから生まれた場だと思っています。

  • 真帆さん

    真帆さん

    本当にその通りですね。私の場合はWATで培った人脈がかなり活きています。お互いに良い時期に決断して適切な場所を選べたかなと。かなり周囲の人たちを巻き込んでいますけどね(笑)。でも、コミュニティは一人ではできないもの。巻き込まれて気持ちの良い場を提供できればいいなと思っています。

  • 賢吾さん

    賢吾さん

    逗子に引っ越してきて、離島に引っ越したいという思いも少しずつ変化し、今はここで何かしたいなと思い始めています。結局は、コミュニティがつくれる場所があれば、離島にこだわる必要はないのかもしれません。東京に近いけれど自然な住環境で暮らせる心地良さみたいなものも感じています。それに、逗子にはおもしろい活動をしている人が結構いるんですよ。

  • 真帆さん

    真帆さん

    カフェを始めてから、そういう方々と出会う機会も増え、秋にイベントやるから参加しないと声をかけてくださる方もいて。今後は、地域とのつながりを大切にしながら、自分たちが提案できるコミュニティの場を増やしていきたいですね。こうして思いがけず副業をスタートさせることができましたが、パラレルキャリアは自分のやりたいように生きるための術なのかなと感じています。

    (取材・文:塚本佳子 編集:ノオト)

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