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リモートワークで業務は円滑に進むの? 社員が出社しない次世代型企業のカタチとは ――勝見彩乃、尾崎静香(ともに株式会社キャスター)×freee前村菜緒対談

毎朝会社に出勤し、仕事をこなして帰途につく――。こうした働き方は、もはや当たり前のことではなくなりつつあります。

近年注目されるリモートワークは、場所を選ばずネットインフラを介して遠隔的に仕事をこなす新しい働き方ですが、すべての社員がリモートワークで働く、次世代型の企業が存在します。リモートワークで仕事はスムーズに進むの? チーム内のコミュニケーションはどうするの? パラキャリ編集長の前村菜緒がキャスターのお2人にリモートワークの疑問をぶつけました。

  • 勝見彩乃さん

    取材協力者:勝見彩乃さん

    株式会社キャスター 人事・広報チームリーダー。採用や人事制度、広報、IR、地方展開などを幅広く担当。リモートワークやワーケーションなど、新しい働き方を実践中。

  • 尾崎静香さん

    取材協力者:尾崎静香さん

    株式会社キャスター CasterBiz事業部。2016年10月に入社し、大阪に住みながら、リモートでクライアント企業の窓口となるフロント業務を担当。

ほぼ全社員が出社しない、リモートワーク前提の組織

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:株式会社キャスターでは、社員の9割がリモートワークで働いているそうですね。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:実際には9割に留まらず、“ほぼ全員”がリモートワークで勤務していると言っていいと思います。当社ではオンラインアシスタントサービス「CasterBiz(キャスタービズ)」という、秘書や人事、経理、Web運用など、さまざまな業務をリモートで対応するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業を運営しています。これらの運営にあたる社員数170人のうち、渋谷の本社に出勤するメンバーが7人ほどいますが、これも出社を義務付けているわけではありません。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:それは徹底されていますね。そもそもこうした特殊な形で会社を運営することになったきっかけは何でしょうか?

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:一つには時代背景に合わせて、リモートワークを推進してかなければならないという創業者の考えに基づいています。ある試算では、10年後には600万人分の労働力が不足するといわれるなか、今後の日本経済を支えていくためには、1人あたりの生産性を上げることは急務です。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:なるほど。でも、ひとくちに生産性を上げるといっても、そう簡単に実現できることではないですよね。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:仕事に付随する時間というのは、大まかに労働時間と移動時間、休憩時間の3つですよね。リモートワークはこのうちの移動時間を省けることが本質的なメリットであり、効率的に生産性を向上させることができる、ということが私たちの考え方です。

ほぼ全社員が出社しない、リモートワーク前提の組織

雇用を前提とし、働き手が継続的に働ける仕組みを

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:リモートワークの形態が注目される一方で、クラウドソーシングの市場も広がっています。生産効率のアップという意味では、どちらも共通する形態ですよね。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:その通りですが、クラウドソーシングは発注主である企業側のメリットは大きいものの、受注する人材にとっては時間あたりの単価が著しく下がるなど、さまざまな問題もあるといわれています。いくら各々の都合に合わせて働けるといっても、継続性がなければ意味がありません。こういった市場の状況から学び、キャスターではリモートワークで組織を作ろうという結論に至りました。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:クラウドソーシングとリモートワークの考え方は、根本的に別物なんですね。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:特にクラウドソーシングと大きく異なっているのは、私たちは雇用を前提としている点でしょうね。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:つまり170人の社員の方は皆、キャスターの社員として正規に雇用されているわけですね。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:基本的には社員として雇用していますが、フレキシブルな勤務を希望する場合には、業務委託契約をしています。こうした組織形態は、人材採用の面でも非常に有利なんです。なにしろ居住地や勤務地を選ばないので、国内外どこからでも人材を受け入れることができます。実際、求人をかけると毎回、500~1,000件ほどの応募が集まるんですよ。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:それはすごい……! こうしてお聞きしていると、リモートワークは会社にとっていいことずくめの形態に思えますが、導入にあたってのハードルは何でしょう?

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:リモートワークは全社導入しないと効果を発揮しにくいのですが、そこまで踏み切れない企業が多い印象です。やはり大多数の方が会社に出勤している場合、そちらを前提に組織運営されますので、リモートワークをしている方が働きにくくなります。

    リモートワークを全社導入する上で、たとえば、もともとオフラインで仕事をしている企業では、なかなか取り入れにくいのではないでしょうか。勤怠管理ひとつをとっても、毎日名簿に印鑑を押すやり方をしている会社が、いきなりオンラインでの管理に移行するのは難しいでしょう。その点、弊社の場合は、もともと設立時からリモートワークを前提としていたので、そうしたハードルはありませんでした。

    ただ、弊社でも何らかの手続きにおいて書類に印鑑をもらう必要がある場合、それがクラウドサインで処理できるものであれば、オンラインで済ませていますが、そうではない書類もまだ一部にあります。その場合は、近隣に住む管理部スタッフがオフィスに来たタイミングで書類を郵送でやり取りすることになります。

雇用を前提とし、働き手が継続的に働ける仕組みを

夫の転勤に左右されずに働き続けられるのが大きな魅力!

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:実際にリモートワークで働くスタッフの方にもお話を伺いたいと思います。尾崎さんは今、キャスターの社員としてオンラインアシスタント業務を担当されているそうですが、現在はどこで仕事をされているんですか?

  • 尾崎静香さん

    尾崎静香さん

    尾崎:私は大阪で生活しています。昨年の10月にキャスターに入社し、クライアント企業の窓口にあたる「フロント」というポジションを担当しています。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:リモートワークという働き方を選んだのはなぜでしょう?

  • 尾崎静香さん

    尾崎静香さん

    尾崎:もともとリモートワークができる環境を探していたのではなく、いろんな求人情報を見ていた際に、たまたまキャスターの募集を目にしたのがきっかけでした。「そんな働き方があるんだ」と最初は驚きましたが、結婚したばかりなので移動に時間を取られることなく仕事ができるのは、やはり魅力的でした。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:たしかに新婚さんにとっては、家事などプライベートと両立しやすいのは大きなメリットですよね。でも、こうした働き方に不安は感じませんでしたか……?

  • 尾崎静香さん

    尾崎静香さん

    尾崎:私はおしゃべりが好きなほうので、誰とも会わずに仕事を進めることに少し戸惑いはありました。でも、チーム内ではチャットを使って毎日密にコミュニケーションをとっているので、意外と寂しさを感じることもなく、すぐに慣れることができましたね。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:業務中、何かわからないことや困ったことがあっても、すぐに相談できる相手がいる、と。

  • 尾崎静香さん

    尾崎静香さん

    尾崎:そうですね。ほかのスタッフの様子が見えにくいので、当初は「今こんな質問をしても平気かな……」と不安に思うこともありましたが、次第にスタッフ同士で気軽に相談し合えるようになりました。それに社内には「シスター制度」があり、新人には指導役の先輩社員がつくので、業務も覚えやすいと思います。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:自宅に限らずどこでも働ける点についてはいかがでしょう。極端な話、どこかへ旅行に出かけている最中であっても、仕事ができるわけですよね。

  • 尾崎静香さん

    尾崎静香さん

    尾崎:私の場合、夫が転勤族で全国に異動の可能性があるので、それでも仕事を続けられるのはありがたいですね。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:ちなみに、一時的に海外に滞在しながら業務をこなしているスタッフもいますよ。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:うーん、やはりリモートワークは魅力的ですね。

夫の転勤に左右されずに働き続けられるのが大きな魅力!

契約も採用もできるかぎりオンラインでの対応を

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:そのほか、業務に必要な情報共有などは、すべてオンラインで管理されているんですか?

  • 尾崎静香さん

    尾崎静香さん

    尾崎:そうですね。たとえばスケジュールに関しては、グーグルカレンダーを活用していますし、それぞれのタスクの状況についても、自社システムで共有できるようになっています。また、チャットだけでなく、必要に応じてスカイプなどで会話をすることもあります。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:同僚の方だけでなく、基本的にはクライアントとも顔を合わせる機会はないということですよね。

  • 尾崎静香さん

    尾崎静香さん

    尾崎:そうですね。それでも何カ月もお付き合いさせていただくうちに、何となくお互いの個性のようなものは見えてくるような気がしています。もし実際に対面することがあったら、「なんか思ってた人と違う」と思われることもあるかもしれませんが(笑)。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:そこがリモートワークの面白いところでもありますね(笑)。ところで、会社としての人材の評価については、どのように行なっているのでしょう。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:自社システムで、個人の作業時間や作業量が可視化されるようになっています。そこで生産性の高い人材には相応の評価をしますし、そうではない人材に対しては、より効率的に作業を進める方法を話し合うなどしています。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:やり方次第でリモートワークは、さまざまなジャンルの業務で導入できそうですね。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:当社でも秘書や人事、経理、Web運用、コールセンター、翻訳など、幅広い業務に対応しています。たとえば接客業など物理的に不可能な業種もありますが、まだまだリモートでできる業種はたくさんあると思います。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:今後もこうしたリモートワークの形式で、人員をどんどん増やしていく方針なのでしょうか?

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:そうですね。少なくとも、どこかのオフィスに人材を集めて仕事をする、ということはないと思います。これは賃料や光熱費の面でも、やはりメリットが大きいんですよ。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:そういう意味では、今後ますますオンライン化が進み、リモートワーク環境を後押しすることになるかもしれませんね。

  • 勝見彩乃さん

    勝見彩乃さん

    勝見:弊社では人材採用にあたっても、書類審査や課題審査はもちろん、対面審査についてもすべてオンラインで行なっているんです。人事担当の私でも、直接会ったことのない社員ばかりですよ(笑)。

  • 前村菜緒

    前村菜緒

    前村:まさしく次世代型の企業の形を見た思いです。今後の発展にもいっそう期待しています。本日はありがとうございました。


    (取材:文:友清哲 編集:ノオト)

  • ライター:友清哲

    フリーライター&編集者。主な著書に『日本クラフトビール紀行』『物語で知る日本酒と酒蔵』(ともにイースト・プレス)。『一度は行きたい「戦争遺跡」』(PHP文庫)、『作家になる技術』(扶桑社文庫)ほか。

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