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会社員×ライター×ママ トリプルキャリアに突入したロフトワーク石川真弓さんの働き方

株式会社ロフトワークに籍を置く石川真弓さんは、同社の正社員として働きながら、週に1日はフリーランスのライターとしても活動。本業と並行してもう一つの仕事を持つパラレルキャリアを、すでに4年以上に渡り実践しています。さらに2017年1月には第一子を出産。「子育て」という3つめの役割が加わり「トリプルキャリア」となったことで、働き方や意識に変化はあったのでしょうか? 石川さんに話を聞きました。

「これは子どもと過ごす時間を減らしてもやりたいこと?」

――まずは、石川さんの現在の働き方について教えてください。

ロフトワークの社員として広報、マーケティング業務に携わっています。週に4日程度はロフトワークに出勤していますが、週に1日はフリーのライター、ブロガーとして働いています。ライターとしての得意ジャンルはざっくりいうとIT系。テクノロジーやガジェットに関する新しいサービスや海外の新製品の紹介記事などを書いたりしています。

――週4日の勤務日はどのように決めているのでしょうか。

基本は水曜日を会社員としての“定休日”としていますが、家庭や会社のイベントなどの都合でほかの曜日に振り替えることもあります。特に最近は、「この日は娘の予防接種に行かなきゃいけない」など、子どもの都合も増えてきたので。

――今年、第一子をご出産されましたが、産休・育休はどのように取られましたか。

昨年12月のギリギリまで働いて、年明けの1月に娘を出産しました。幸いなことに4月から認可園に入ることができたので、5月からは仕事に復帰しています。

最初のうちは「生後3カ月にも満たない娘を預けてまで働きたいのか?」と、正直葛藤もありましたが、仕事に復帰して4カ月が経った今はもう割り切っています。保育園の方がうちより広いし、保育のプロの先生たちが丁寧に見てくださる。本人も楽しそうですし、多分、うちにいるよりもずいぶん手厚くお世話をしてもらっているはず(笑)。

現在は会社は週4で時短勤務の形で仕事をしています。ちょうど同じようなタイミングで出産した同僚がいるのですが、彼女も同じような時短勤務のスタイルです。

――業務内容は復帰の前後で変わりはないのでしょうか。時短勤務となると、産前に比べると業務時間もかなり減ってしまったのでは?

業務内容そのものは変わってないのですが、残業がまったくできなくなった分、業務時間的には半分くらいのリソースになっている感じはやっぱりありますね。

ただ、集中の度合いは以前よりもずっと高まったと思っています。より優先度の高い仕事から手をつけていく意識が身につきました。ロフトワークは定時が19時なのですが、前はコーヒーを飲んで休憩して、21時過ぎまでまたダラダラ考えて、みたいなときもやっぱりあったので。ですから、勤務時間が半分になったのでパフォーマンスも半分です、という感じでもないかなと自分では思っています。

とはいえ、会社が主催する夜のイベントや勉強会などに参加する機会はやっぱり減りましたね。以前は積極的にイベント参加してきたのですが、今は「これは夫に世話を任せて子どもと過ごす時間を減らしてでも参加するべきか」という視点で取捨選択せざる負えなくなりました。

――子どもが小さいうちは、夜の時間はなかなか自由に使えませんよね。

そうですね。平日は夫の帰りが22時過ぎることが多いので、基本は私が一人で子どもを見ています。でも、「この日は飲み会に行きたい」「イベントに参加したい」ということを事前に伝えておけば、夫一人に任せてしまっても全く問題ありません。おむつ替えもお風呂もどっちの分担と明確に決まっているわけじゃないし、いつも気がついた方がやる、という感じですね。夫婦でGoogleカレンダーを共有して、予定ができたらそこに書き込んでお互い調整しています。

――子育てという新たなタスクが加わったことで、副業であるライターのお仕事に変化はありましたか。

これまでと変わらず、会社の定休日と空いた時間を使ってライター業もしていますが、土日はそんなに働けなくなりました。育休中には会社員としては休んでいても、ライターとして記事を書いて働いていました。赤ちゃんって結構寝ている時間が長いので、その間に。

――週4勤務+週1フリーランスという勤務スタイルはかなりのレアケースですが、保活に不利に働くことはありませんでしたか。

もちろん書類できちんと説明しました。週に4日の会社の就業時間はここからここまでで、週に1度フリーランスとして働く際はこういう感じで何時間働いています、というようなスケジュール表を書いて申請して。早生まれは不利だっていわれますけど、運良く二次募集で入園することができました。

子どもを育てるようになってからも、会社員としての仕事と、ライターとしての仕事の割合自体はあまり変わっていないですね。収入の比率はだいたい3対1ぐらいかな。ライター業は仕事をした分だけ報酬となるから、頑張れるときは頑張るけど、全然できないときはできない、という感じで月によってかなり変動はあります。

広報とライターの2つの足場があることで、双方の気持ちが理解できる

――2つのキャリアを同時進行で積み重ねていくことによるメリットはありますか。

たくさんありますよ。ライターのお仕事でできた知識やネットワークを、ロフトワークにつなげて還元することができますし、その逆もある。2つの足場があるからこそ、違う種類のコミュニティを得られるし、それをうまいこと生かせるのがメリットだと思っています。

あとは会社員としては広報業務を担当しているので、普段は媒体の人やライターの人にPRしていきたい立場なのですが、自分はどちらも経験しているから、こういう媒体ならどういう言葉なら伝わるのか、書き手としてこういう風に接してもらえたらうれしいだろうな、といった双方の立場と気持ちが理解できる。それも強みですね。

――石川さんのほかにも、ロフトワークには別の仕事を掛け合わせている人がいるのでしょうか?

私のほかにいろんな働き方をしている人がいます。副業でウェブのディレクターをしている人、週末起業している人、週に2、3日だけ出勤してあとは劇作家として働いている女性なんかも。全社員の10%未満なので人数はそれほど多くないですが、多様な人材がいて面白いですよ。

パラレルキャリアを考える人が最初にすべきこと

――「リスク・ヘッジのためにも副業を持ちたい」という会社員は増えている一方で、「最初の一歩をどう踏み出せばいいかわからない」という声もよく聞きます。何かアドバイスをいただけますか。

どんな副業を持ちたいかにもよるとは思うのですが、まずは自分が進みたい方向のコミュニティに積極的に入っていくこと。イベントやセミナー、講演会といった場に参加してみるところから始めるといいのではないでしょうか。探せば絶対にすぐ見つかるはずですから。

たとえば、ワインが好きならワインのコミュニティに行って見ればいいし、Airbnb的なことに興味があるならそういう集まりに顔を出してみればいいですよね。ライターになりたいならブログを始めるのもいいし、真正面から「ライター募集」している媒体に応募してみてもいい。

ただし、当たり前ですけれども最初から何万円、何十万円もお金をもらえるような仕事は難しい。まずは手弁当でもその世界に入ってみて、とりあえずできそうなところから手をつけて、どんどん実績を積んでいくことが大事だと思います。

――とはいえ、まだまだ副業に理解のある企業が少ないのが現状ですよね。

国の施策として副業や兼業が後押しされているので、これらのメリットについて理解と認識を広げていくことも大事かなと思います。今はまだ「あの大企業が副業を認めた!」っていうだけでニュースになる時代ですけど、いずれはそんなことがわざわざニュースにならないくらい、当たり前になる社会になっていけばいいですよね。

2つの仕事があれば、ライフステージに合わせて働き方を切り替えられる可能性が持てる

――石川さんは、今の働き方に満足していますか?

「会社員の仕事が本業であり、ライターが副業」という今の自分の働き方にはすごく満足しています。フリーランスとして好きな仕事をできる日がある一方で、会社という“場”に救われている場面もたくさんありますから。出勤してミーティングや会議に出るとスイッチが切り替わるし、同僚とおしゃべりすると新しい元気や刺激がもらえる。そういう働く場が外にあることが、私にとってはちょうどいいバランス。このバランスを気に入っているからこそ、今の働き方を4年以上も続けてこられたんだと思います。

でももしこの先、どこかのポイントで子育てが大変になったら、副業をいったんストップして会社にだけ集中するか、もしくは会社を辞めてライター業に振り切る選択もありかな、とも思ったりします。ライフステージはどんどん変化していくと思うので、それに合わせて柔軟に働き方も変えていきたいですね。

(取材・文:阿部花恵 編集:ノオト)

  • 石川真弓さん

    取材協力者:石川真弓さん

    2013年、株式会社ロフトワークに入社。週4日勤務の広報兼プランナーとしてさまざまな企画を手がける傍ら、フリーのライターとしても活動を続ける。2017年1月、第一子を出産。

  • ライター:阿部花恵

    編集者・ライター。働き方、ライフスタイル、差別、ジェンダーなどを中心に執筆・編集を行う。編集担当の近著は『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(石川善樹、吉田尚記/KADOKAWA)。

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