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「演劇の地位を高めたい」 テニミュの演技トレーナー林洋平さんがアソブロックで実践する柔軟な働き方

企画・編集・プロデュースなどを行う「アソブロック株式会社」では、兼業推進制度を設け、社員全員が複数の仕事を掛け持っています。2012年にアソブロックに入社した林洋平さんは、斎藤工や城田優など人気若手俳優を多数輩出したミュージカル「テニスの王子様」の演出助手や演技トレーナーとして長年関わる人でもあります。地方公演もある日本屈指の人気舞台で、要のスタッフとして活動する林さんは、アソブロック社員の仕事と、どのように両立させているのでしょうか。また、代表の団さんは、そんな林さんの働き方をどのように考えているのでしょうか。お二人に話を聞きました

お話を伺った人

  • 林 洋平さん

    林 洋平さん

    アソブロック株式会社で「ヒト・ソシキ」領域を担当し、演劇メソッドを使った企業研修を行う。会社の特徴的な仕事となった英語×演劇のワークショップには、企画・運営で関わっている。アソブロックで働く傍ら、ミュージカル「テニスの王子様」やハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」の演技トレーナー、ホスピタリティ ツーリズム専門学校講師のほか、年に2回ほど舞台演出も手がける。

  • 団 遊(だん あそぶ)さん

    団 遊(だん あそぶ)さん

    アソブロック株式会社代表。「変化と刺激のあるモノづくりであらゆる分野の課題解決に取り組み、自社他社問わず、人の成長に向き合うクリエイティブ集団」を標榜し、会社を牽引する。社内では「チイキ」「カゾク・コドモ」領域を担当。

社外の仕事は、若手俳優の演技指導から自身の舞台演出まで

――林さんは、アソブロックの業務以外にかなり多くの演劇の仕事をされていますよね。その内容を教えてください。

  • 林さん

    林さん

    大きいところですと、若手俳優を輩出するミュージカルで演出助手や演技トレーナーをしています。1つはミュージカル「テニスの王子様」(以下、テニミュ)で2011年から演出助手や演技トレーナーを、もう1つはハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」で2017年に演技トレーナーを担当しています。演技未経験者もたくさんいるため、社会の中での俳優の立ち位置について考える座学から、演技指導まで業務範囲は多岐にわたります。「テニミュ」は地方公演にも帯同していますね。

    また、ホスピタリティ ツーリズム専門学校のテーマパーク科で講師もしています。これはテーマパークのアトラクションや案内のスタッフを養成するもので、演劇のメソッドを使ってコミュニケーション力や表現力を向上させて、現場で必要とされる状況把握能力やお客様の想いを汲み取る力を高めていきます。授業で実際に演劇もやってもらうのですが、シャイな生徒さんが表現の楽しさを知って、コミュニケーション力が上がっていく姿を見るのはうれしいですね。

    そのほか、個人の演劇ワークショップや舞台演出なども行っています。今も大阪の演劇団体の舞台に関わっています。

社外の仕事は、若手俳優の演技指導から自身の舞台演出まで

――ご自身で演出される舞台が年に2本あると、単純計算で3~4か月は芝居に拘束されると思います。また、地方公演が続くと、アソブロックに出社しない期間も少なくないのではないでしょうか。1週間のスケジュールを教えてください。

  • 林さん

    林さん

    月曜は一日中専門学校で授業を行い、火曜~金曜は、日中アソブロックで採用支援の制作業務などをしています。平日夜の週2~3回は、演劇のワークショップを入れていますね。

    「テニミュ」に関しては地方公演も関わっているので、金曜の夜から土曜・日曜帯同することもありますし、今は大阪の舞台の演出があるので、土曜・日曜に稽古に参加しています。

演劇から生まれた企画がアソブロックを代表する事業に成長

――次に、アソブロックでの林さんの仕事を教えてください。

  • 林さん

    林さん

    企業や幼稚園の教員向けに、演劇メソッドを使った「ドラマジック」という研修を行っています。そのほか、英語と演劇の複合ワークショップ「ぷれいご」の企画運営、企業の採用支援に関わるメディア運営やブランディング構築です。

    「ドラマジック」は、演劇のワークショップを通じて、表現力やコミュニケーション力、チームビルディング力を向上させる研修です。演じることで、もっと自己表現できるようになったり、周囲の人に対する自分の思い込みや思考のクセに気づけたりします。

    「ぷれいご」は、ビジネスパーソンの英語コンプレックス解消を目的としたワークショップです。団さんも生徒として参加してくれているんですよ。だいぶ英語への苦手意識がなくなりましたよね?

  • 団さん

    団さん

    もともと「ぷれいご」は、僕が大手の英会話教室に複数通って、お金も投資したのに、英語がまったく上手くならなかったという悩みから始まった事業です。僕、マンツーマン指導で英語の発音を指摘されると、まるで自分の人間性を否定されるような気がしていたんですよ。それで自信をなくして英語が苦手になってしまうんじゃないかな、と。でも「ぷれいご」は、英語で演劇をするので、発音を注意されても役柄や演技に対しての指導のため、僕の心のイガイガ感が解消されたんです(笑)。

    「ぷれいご」の受講生は会社社長など、かなりハイスペックな方も来られています。学校の英語勉強法では実りがないと、気づいていらっしゃるんでしょう。

演劇から生まれた企画がアソブロックを代表する事業に成長

社員のスケジュールはグーグルカレンダーで共有

――団さんに聞きたいのですが、林さんが演劇の仕事などで会社にいないことで、業務上のトラブルが起きたことはないのですか?

  • 団さん

    団さん

    特にないですよ。チーム体制で仕事をしているので、チーム内で案件ごとに情報が共有されていますし、それぞれがリスクヘッジも含めて仕事を回すよう徹底しています。

    社員全員が兼業しているので、誰がどこで何をしているのかを各自グーグルカレンダーに入れて管理しています。林くんは、「芝居の稽古が始まるので、1か月間、アソブロックに来られないです」という時期もありましたが、ほかのスタッフも把握して仕事を進めているので、別に問題ないです。

――林さんは、仕事が多岐に渡るので、スケジュール管理や頭の切り替えが大変ではないですか?

  • 林さん

    林さん

    演劇は「対人間」の仕事なので、現場での機転が求められます。アドリブ対応をしていた稽古場から、アソブロックに戻ってきて仕事をすると、当初は頭の切り替えが大変でしたね。ようやく慣れたのは、この1~2年ではないでしょうか。

    スケジュール管理は、正直今でも器用ではありませんが、2012年の入社当時は、アソブロックの仕事をきちんと覚えたかったので、演劇の仕事を少し休みました。2年目から演劇の仕事を増やしていって、3~4年目には、アソブロックの仕事を走らせながら、演劇の仕事もやれるようになりましたね。これは柔軟な働き方を認めてくれるアソブロックに所属していなければ、できなかったことだと思います。

社員がやりたいことをやっていれば会社がモチベーションをコントロールする必要はない

――社員の兼業を推進していたり、多岐にわたる事業を展開していたりと、アソブロックは、謎の多い会社です。今後の展望は何でしょうか?

  • 団さん

    団さん

    アソブロックは、大前提として「どういう仕事をしたいかを決めない」会社です。「人が育つために仕事がある」という考え方なので、人がより育つ環境にするには、より一層仕事の領域を定めないといいますか。会社という場所が謎であればあるほど、人の成長幅は膨らむと思うんですよ。

    そもそも会社がモチベーションを上げようとするのは、社員がやりたいことをやっていないからだと思います。みんながやりたいことをやっていれば、会社がモチベーションをコントロールせずとも、社員はみんなモチベーションを高く維持できるんですよ。それこそが、人が最大限成長できる環境です。

――林さんは、まさに自分のやりたいことを事業にしていらっしゃいますね。

  • 団さん

    団さん

    林くんはアソブロックに入って来た時、「日本は俳優に対するリスペクトがなさすぎる。表現活動をする人を『食えてるの?』と、大人になりきれない人として見るのは間違っている」と、怒っていたんですね。それを何とかしたいと。

    彼は、演劇に対する一般の人のリスペクトを高めるために、演劇に関わる人の職域開発をしています。「社会を変えたい」と言って入社してきた林くんが先頭に立つことで、未来の演劇人に仕事を作ることになるのです。なので、林くんにはもっと疾走してほしいので、応援中です。

――林さんから見て、団さんはどんな人ですか?

  • 林さん

    林さん

    良い意味で、化け物のような人です。単純にすごい存在だと思います。懐の深さもさることながら、僕以上に仕事をこなしていても、飄々としていますからね。時々、疲れて社内で寝ているのを見ると、ビックリしますけど(笑)。

    今、世間では働き方改革として副業が話題になっていますが、団さんは、そんな言葉がない頃から、ずっと「世の中、絶対に兼業の方向になる」と言っていましたからね。

――時代を先読みして、いち早く会社の体制を整えたのですね。

  • 団さん

    団さん

    そうですね。今、アソブロックは16期で、2007年ぐらいから兼業を推進しています。その頃から、経営戦略が「人育て」と常に思っていましたから。そういう方向に舵を切って11年間、比較的順調なので、自信を持って言えますね。世の中の経営者の方、絶対に兼業OKにしたほうが儲かりますよ!

(取材・文:横山由希路 撮影:木村麻希 編集:ノオト)

  • ライター:横山由希路

    ライター・編集者。エンタメ系情報誌の編集者を経て、フリーに。介護、プロ野球、演劇、台湾などを中心にWEB媒体の執筆、ノンジャンルで書籍編集を行う。

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