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インフルエンサー採用は会社にどんな影響をもたらすのか? オンデーズ人事担当者に聞いた

メガネ専門店のオンデーズは2017年から、InstagramやTwitterなどで一定人数以上のフォロワーがいる人を対象にした「インフルエンサー採用」を始めました。採用された場合、通常の給料にプラス5万円のインフルエンサー手当を出すというこの制度は、ネット上でも話題に。

インフルエンサーに事業の後押しをしてほしい会社が多い中、先陣を切って新しい取り組みに挑んだ同社。実際にインフルエンサー採用は、会社にどんな影響をもたらすのでしょうか。オンデーズの人事担当・小野内晏奈さん、広報担当・重村真実さんに伺いました。

  • 小野内晏奈さん

    小野内晏奈さん

    株式会社オンデーズ人事部。求人サイトへの対応、新卒者向けの企業説明会、面接のセッティングなど、新卒採用に関する業務を行う。

  • 重村真実さん

    重村真実さん

    株式会社オンデーズブランディンググループ PRESS担当。プレスリリースの配信や各種メディア対応などが主な業務。ほか、国内のオフィシャルSNS担当として、投稿や企画制作にも携わる。今後は、インフルエンサー採用のスタッフとともに、若者向けのキャンペーンやイベントの企画を予定。

会社の良いところを知っている人に、社員のお手本になってほしい

――インフルエンサー採用を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

  • 小野内さん

    小野内さん

    もともとオンデーズでは、公式SNSの運用を行っていて、スタッフにも個人アカウントの積極的な活用を勧めていました。現在、若手社員を中心に約半数の社員がSNSで会社について発信をしています。テレビよりもSNSを見る時代ですから、広告代理店さんからもインフルエンサーの活用はたびたび提案されていました。ただ外部の方に頼んでしまうと広告色が強くなるし、何よりもうちの会社で働かないと本当の楽しさや魅力はわかりません。

    そんな状況のなか、「既存スタッフのSNS活用のお手本になり、企業の顔にもなれるインフルエンサーを正社員で採用してみよう」と代表が提案したのがきっかけです。昨年の秋頃から募集を始めています。

――いきなりチャレンジングですね。そもそも、どうしてSNSでの発信強化を?

  • 小野内さん

    小野内さん

    メガネ業界にはスタイルの流行はありますが、正直なところ商品の機能やデザインだけでは大きな差はつけられません。現在ECサイトが普及し、お店に行かなくても物が買えるのが当たり前になってきました。その中で、どうやったらお店に直接足を運んでいただけるのかを考えると、スタッフの人柄がキーポイントになってくると思います。私たちの採用方針は、「社員一人ひとりがファンを作れるような人材であること」。リアルな場での接客対応の良さはもちろん、SNSの情報発信にも関係があると思っています。

――ネット上ではかなり話題になりましたが、社内スタッフからはどんなリアクションが?

もともとSNSを活用している社員も多いので、「SNSの使い方を教われる!」とポジティブに捉えていたようです。むしろ宣伝してくれるスタッフが多かったですね。

――初年度の今年、実際にはどのくらいの応募あったのでしょうか。

  • 小野内さん

    小野内さん

    通年採用でまだ継続しているのですが、週に1〜5名程度から応募があり、この半年では合計70〜80名から連絡をいただきました。応募者が10代後半から40代の方までと幅広い年齢層だったのが意外でした。

――かなりの応募数ですね……! ネット上では「インフルエンサーの基準」についても議論がありましたが、「フォロワー数」の基準はどのように決めたのでしょうか。

  • 重村さん

    重村さん

    募集初期は、1500人のフォロワーがいる方を対象としていました。1500人というと、確かにインフルエンサーとしてはフォロワーが多いほうではありません。とはいえ初めての取り組みで、フォロワーが何万人もいる方を採用するのも簡単ではない。だったら、ある程度のフォロワーがいて、SNS上で信頼されている人に会いたいと考え、1500人を基準にしました。その後、応募者の状況を見て、現在はフォロワー数1万人以上の方を対象にしています。

  • 小野内さん

    小野内さん

    もちろん応募があった際に、「購入したフォロワー」ではないかは調べます。あと、投稿に対してどのくらいの反応や影響があるのかも確認していますね。これらはネット上で議論になる前から想定して準備していました。

――確かにそれを決めておかないと、曖昧になりますよね。ちなみに、もともとオンデーズのファンじゃないといけないのでしょうか?

  • 重村さん

    重村さん

    いえ、そんなことはありません。メガネやファッションというジャンルに限らず、フォロワーがついている人を幅広く対象にしています。応募者の中にはカメラのジャンルで活動している方もいました。ですので、普段からメガネをかけていなくても大丈夫です(笑)。

――他のジャンルのインフルエンサーだと、他社の製品を宣伝したくなることもあるかと思います。副業のルールは決めていたんですか?

  • 小野内さん

    小野内さん

    プライベートで雑貨を作って趣味の範囲で販売している人もいるので、どこまでを線引きするのかは難しいと思っています。現時点では、本業に支障がない範囲であればいいと思っております。

――現時点で、インフルエンサー採用で内定を出した方はいますか?

  • 小野内さん

    小野内さん

    中途と新卒の男性2名の採用が決まっています。入社後は店頭に立って、商品や店内の様子をInstagramやTwitterに載せてもらう予定です。

――数ある応募の中から、採用の決め手はなんだったんでしょうか?

  • 小野内さん

    小野内さん

    自身のSNS投稿のデータを分析されていたのと、独自の世界観をアカウントの中で作りあげていたことが大きいですね。彼らならば、うちの商品にうまくファッション性に取り入れられるアイデアが出てきそうだな、と。将来的に会社のPRを任せる予定なので、カルチャーマッチも含めての内定でした。

ミスマッチを防ぐために、きちんと目的の共有とすり合わせを

――新しい取り組みで、採用のプロセスの中にはさまざまな難しさもありそうです。

  • 小野内さん

    小野内さん

    はい。珍しい取り組みなので、私たちの意図が伝わりにくい部分はありました。募集の初期には、すでに他社でもインフルエンサーとして活動されていて、空き時間でオンデーズの商品PRもやりたい、という方からのご連絡がすごく多かったです。正社員の求人だったのでその場合はお断りさせていただきました。以降は、より明確に意図を伝えるために、採用サイトのデザインや文言などを細かく調整しました。

  • 重村さん

    重村さん

    目的のすり合わせの重要性を感じたので、応募者にはテレビ電話や来社時にきちんと説明する機会を設けていました。特にInstagramでフォロワーが多い方ほど、自身の世界観があります。インフルエンサー採用では月に2回会社に関する投稿をお願いしていますが、もしオンデーズの商品の投稿を行った時に世界観が崩れてしまったら、元も子もなくなってしまいますよね。どんなインフルエンサーの方を採用したいのか、その方に何をしてほしいのかを明確に伝えてミスマッチを防ぐようにしました。

反応を受けて調整した現在の採用サイト

会社としてSNS活用を推進していくためのコツは?

――SNSで投稿をし続けるのは大変です。スタッフの投稿数を増やしたり、モチベーションを保ったりするために工夫していることはありますか?

  • 重村さん

    重村さん

    こういう投稿をしてほしい、という強制は一切していません。ただ、SNSに載せたくなるような社内イベントを開催するなど、意識はしていますね。例えば、年に1回管理職を決める選挙を行うイベント「サミット」は、クラブを貸し切って盛大に開催します。実際、サミットに関する投稿数は年々伸びていますね。無理に投稿を促さずとも、「変わった会社で面白いから」と発信してくれるケースが多いです。

  • 小野内さん

    小野内さん

    あと、無遅刻無欠勤や売上の達成、他店舗の見学などでマイルが貯められる「STAPA(スタパ)」という福利厚生システムがあります。マイルを獲得した時にスタンプが表示されるので、キャプチャを撮ってアップしてくれたりしますね。

――インフルエンサー採用では手当が出ますが、ほかの社員の評価にもSNSの活用は入っているのでしょうか?

  • 小野内さん

    小野内さん

    不公平でないようにSNS単体では評価していません。ただ、SNSの活用がお店の売上に影響があった場合などは評価しています。あとは、社長の目にとまることは多くなるので、アルバイトスタッフが社員登用を目指す場合はアピールポイントになっています。

  • 重村さん

    重村さん

    確かに、社長はSNSを使いこなしている社員をよく見ていますね。

  • 小野内さん

    小野内さん

    メールの返信よりも、Twitterのいいねを押すほうが速いほどです(笑)。

――社長もエゴサーチをされているんですね(笑)。積極的な活用を勧める一方で、社員がSNSで情報を発信するのはリスクも伴うはず。そのあたりは、どう制度設計をされていますか?

  • 小野内さん

    小野内さん

    アルバイトも含め入社時に、メディアの利用規定を説明しています。4カ月に1度SNS研修を行い、公序良俗反しない、他社を批判しないなどの基本的な禁止事項は、その都度伝えています。あとは手すきの際に、社員の投稿を1つひとつ確認しています。

――全部見られているんですね。もしちょっとまずい投稿をしてしまうと、どうなるんでしょうか……?

  • 小野内さん

    小野内さん

    例えばオフィスで撮影された投稿写真に、社内情報が写っている場合には、個別に連絡して、写真の修正をしてもらいます。そういった指導の中で「これがダメなんだな」という認識をすり合わせるようにしています。

  • 重村さん

    重村さん

    また投稿の中には、社内情報に限らず車のナンバーのようなスタッフの個人情報が特定される写真があるケースもあり、「個人の自由だけど、リスクがあるからやめたほうがいいんじゃない?」とは伝えています。必ずしも投稿自体を否定するのではなく、本当に大丈夫かを確認する姿勢です。これらは、会社のブランドではなく、個人の安全を守ることにもつながりますので。

――会社として個人のリスクまで考慮してくれるのは、社員にとってありがたいことですね。

  • 重村さん

    重村さん

    見られるのが嫌な人はSNSを使わなければいいですし、やりたい人は見られていると理解した上で投稿をしてもらえればいい、というのが私たちの考えです。もちろん、外から投稿が見られない鍵付きアカウントを使うことも規制はしていません。これらを全て含めてSNSの活用は自由だと、明確に伝えています。

インフルエンサーが入ったら会社はどう変わる?

――これから入社されるインフルエンサー社員に期待していることを教えてください。

  • 重村さん

    重村さん

    現在もスタッフ個人の発信はしていますが、そこに自分の世界観とフォロワーがいるインフルエンサーが入ると、新しい風になります。ほかのスタッフとしても、新しい発信の仕方が学べる機会になるはずです。その結果、社員がSNSの魅力に気づいたり、発信力アップしたりして、オンデーズを知ってもらえる人が増えるといいなと思っています。

  • 小野内さん

    小野内さん

    人事としては、もちろん楽しんで仕事をしてもらえるとうれしいです。そして、その延長上にInstagramやTwitterがうまく絡んで、発信の楽しさも感じてもらえれば。正直、手探りの部分もありますが、入社される方にはオンデーズのインフルエンサーとして自分のポジションを確立していってほしいですね。

(取材・文:鬼頭佳代 編集:阿部綾奈/ノオト)

取材協力:オンデーズ

  • ライター:鬼頭佳代

    有限会社ノオトの編集者・ライター。東京・五反田のコワーキングスペース「CONTENTZ」管理人。土曜出社、水曜休みのワークスタイルで働いています。好きなものは、レトロ喫茶と懐かし系少女漫画、そして宝塚歌劇。

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